1. はじめに
外科切除が標準治療だった胃癌治療は、1990年後半から開発された内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の出現により大きく変わった。ESDの真の利点は、任意に側方の切開範囲を選択できることではなく、剥離深度を任意に調整できることにある。
すなわち高度線維化症例や粘膜下層浸潤症例でも理論上R0で切除可能となったことは、従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)とは一線を画す手技である。EMRの時代と比較すると、技術的な側面からは相当な腫瘍が切除可能となったが、社会的背景も考慮して現状の内視鏡治療の意義と適応を考えてみたい。
なお2025年3月に発刊された「胃癌治療ガイドライン第7版」が最新のバージョンであり、治療選択においては大原則としてこちらを参照にしていただきたい。
2. 早期胃癌の腫瘍個体に関する内視鏡治療の意義とは?
早期胃癌の内視鏡治療が成立するためには2つの側面をクリアしなければならない。すなわち腫瘍に対する局所の完全切除と転移の可能性が極めて低い病変の選別ということになる。
後者においてはリンパ節廓清を伴う外科手術の治療成績から、早期胃癌のリンパ節転移リスクが明らかになり、現在の適応や治癒判定の礎になっている。外科手術が行われた胃癌の粘膜癌、粘膜下層癌の5年生存率が各々99%強、97%弱であったことから、同様のリンパ節転移リスクであれば内視鏡治療が成立するのではないか、という視点から内視鏡治療の適応が定められてきた。
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