胃ESDをやってみよう② 胃体部病変―出血のコントロールと垂直対峙の克服

胃ESDをやってみよう② 胃体部病変―出血のコントロールと垂直対峙の克服

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三浦 義正 先生
三浦 義正 先生
日本大学病院 消化器内科
目次

1. はじめに

体部病変を施行医として任される時期は、初学者の先生も相当の数のESDを経験した頃で、次のステップに移っている時期である。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染率自体の減少や若年時での除菌が増加したため、胃体部大弯まで萎縮・化生が広がっている症例は今後減少していくであろう。将来的には困難部位の一つである体部大弯のESDに遭遇する機会は減っていくことが想定されるが、高齢者の高度萎縮症例、A型胃炎症例、そしてヘリコ未感染胃に発生することが多い胃底腺型胃癌などは同領域に多く発生する。胃底腺型胃癌は腫瘍の特性上、発見時にはSM層に腫瘍が存在することが多いため、意図的に病理学的評価に値する厚い粘膜下層組織を得るESDも求められる。

2. 胃体部ESDでは術中出血が多い?

術中出血に関して、体部ESDであまり良くないイメージをお持ちの先生方は多いと思われるが、同部位のESDをスムーズに行うコツはまさに術中の出血コントロールにつきる。局注で出血を起こすと、それだけで気持ちが萎えてしまう。しかしながら、初学者の先生と上級医の先生では明らかに出血の頻度は異なる。上級医は出血させないために何に気を付けているのか? 後壁側から小弯側であれば、斜走筋と内輪筋の交差点に比較的大きな穿通枝(赤丸)があることを知っておくと術中の大出血を回避することができる(図1)。さらにこの穿通枝は粘膜下層の浅い層で分岐して横走りをしているので、粘膜下層の浅い層での剥離は血管の多い層をわざわざ剥離しに行っているようなものである。さらに粘膜下層の脂肪も浅層に存在するので、出血と脂肪の両方に悩まされることになる。筋層の直上に局注してまずは脂肪層を避け、意図的に剥離層ラインを筋層の直上に設定することで、処理する血管の数も減らすことができる(穿通枝の処理のみにする)(図2)。

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