記事のポイント
- H.pylori現感染は、びまん性発赤と粘膜腫脹に着目して診断します。
- H.pylori現感染は、地図状発赤を見つけることが診断の鍵となります。
- H.pylori現感染は、一度も感染を起こしていない胃粘膜です。RACに着目しましょう。
H.pylori感染診断について
H.pylori感染の有無、萎縮の程度を評価することはとても重要です。H.pylori感染は現感染、既感染、未感染に区別され、それぞれに出現する胃癌の特徴が異なります。またH.pylori現感染と判断した場合には、H.pylori除菌治療を考慮することになります。H.pylori感染の評価については、「胃炎の京都分類」をもとに感染診断を行うのがいいと思います。ここでは胃炎の京都分類で用いられているH.pylori感染に関わる粘膜所見のうち代表的なものについて解説したいと思います。
胃炎の京都分類(改訂第3版 抜粋)
| 内視鏡所見 | 未感染 | 既感染 | 現感染 |
|---|---|---|---|
| RAC | ◎ | ×~○ | × |
| スクラッチサイン | ○ | ×~○ | × |
| 胃底腺ポリープ | ○ | ×~○ | × |
| 稜線状発赤 | ○ | ○ | × |
| 地図状発赤 | × | ◎ | × |
| “フジツボ様”所見 | × | ○ | △ |
| びまん性発赤 | × | × | ◎ |
| 粘膜腫脹 | × | × | ◎ |
| 白濁粘液 | × | △~× | ○ |
| 雛壁腫大・蛇行 | × | △~× | ○ |
| 鳥肌 | × | △~× | ○ |
| 黄色腫 | × | ○ | ○ |
| 腸上皮化生 | × | ○ | ○ |
◎よく観察される,○観察される,△観察されることがある,×観察されない
H.pylori未感染で重要な所見
- RAC(Regular arrangement of collecting vebules):胃底腺領域に認める規則的な集合細静脈を反映した所見です。体部小彎や胃角部小彎で評価します。

- スクラッチサイン:スコープの擦過に伴い、線状の発赤粘膜および白い付着物が認められる所見です。これは擦過により剥脱した胃粘膜表層の上皮をみています。H.pylori未感染または既感染に特徴的な所見です。

H.pylori既感染で重要な所見
- 地図状発赤:除菌により炎症が改善し単核球や好中球の浸潤が消失すると、活動性炎症を伴っていた非萎縮領域の発赤が改善して白くなります。そうすると相対的に萎縮領域が発赤調に見えるようになります。これは除菌後に出現する特徴的な所見です。

H.pylori現感染で重要な所見
- びまん性発赤:主に胃体部の非萎縮粘膜に観察されます。好中球浸潤、単核球浸潤を反映した所見です。
- 粘膜腫脹:柔らかく厚ぼったい感じの粘膜として認識されます。粘膜の炎症細胞浸潤と浮腫を反映した所見です。
- 白濁粘液:H.pylori現感染で認められるのは、淡白色調で粘稠な粘液です。PPI/P-CAB内服で認められる蜘蛛の巣様粘液は透明感のある白色ですので、混同しないように注意が必要です。

参考文献
1)「胃炎の京都分類 改訂第3版」(春間賢/監.加藤元嗣,他/編)日本メディカルセンター.2023