Loop9法による内視鏡的創閉鎖―専用デバイスLoop9™の構造・手技・応用

Loop9法による内視鏡的創閉鎖―専用デバイスLoop9™の構造・手技・応用

テキストコンテンツ 腫瘍性病変 創閉鎖
読了時間:約12分
田邊 万葉 先生
田邊 万葉 先生
昭和大学江東豊洲病院 消化器センター
目次

記事のポイント

  • Loop9法は、ループ状の糸を用いたstay suture(仮固定縫合)法で、通常治療用スコープと汎用クリップのみで完遂できる。
  • 専用デバイスLoop9™(Boston Scientific社)の登場により、術前準備不要で再現性高く施行可能となった。
  • ループが管腔内でフリーな状態で展開されるため、創縁の形状・部位に応じて柔軟に配置を調整できる。
  • 各臓器のESD後創閉鎖に応用可能である。

Loop9法とは?―手技の背景と概念

開発の経緯

消化管ESD後に生じる広範な粘膜欠損は、遅発性出血や遅発性穿孔のリスクとなります。これを予防するため、クリップ単独法に加え、さまざまな創閉鎖手技が報告されてきました。2004年にMatsudaらが報告した「Endoloopとクリップを用いた内視鏡的巾着縫合法」はこの分野における先駆的報告であり、Loop9法はその概念を発展させたものです。

我々は2022年、4-0モノフィラメント縫合糸と医療用フェルトを組み合わせた手製デバイスによる"Loop9法"を報告しました¹)。2026年には本手技の専用デバイスLoop9™(Boston Scientific社)が本邦で商品化され、術前準備なく再現性高く施行できるようになりました。

手技の原理

Loop9法は、9の字型のループを創部に展開し、クリップで複数点に固定(アンカリング)したのち、ループを締結して創縁を引き寄せる手技です。創縁を一時的にstay suture(仮固定縫合)することで、追加クリップによる最終的な創閉鎖を容易にします。

図1  Loop9法イメージ図

Loop9™デバイスの構造と特徴

デバイスの構成

Loop9™はループ部(ポリアミド製非吸収糸、径10mm)・留め具(シリコン製アンカー)・テールから構成される本体と、シースチューブ(有効長220cm、最小鉗子口径2.8mm)から成ります。テール末端には生検鉗子で把持するための結び目が2か所設けられています。

使用前はループを装填具でシース内に収納し、手元側から小径生検鉗子(径2mm以下)を挿入してスタンバイ完了です。術前の糸の加工・成形は不要で、短時間で準備できます。

図2 上: Loop9の構造 下: Loop9のセッティング

手技の実際―3ステップで完遂する創閉鎖

Loop9法による創閉鎖は、① Loop delivery(ループの管腔内デリバリー)、② Anchoring(クリップ固定)、③ Loop closure(ループ締結)の3ステップで構成されます。

Step 1:Loop delivery(ループの管腔内デリバリー)

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