キーポイント
- 巾着縫縮(purse-string closure / endoloop closure)はクリップとループデバイスを併用する比較的低コストで簡便な粘膜閉鎖法である
- 胃ESD後の粘膜欠損閉鎖に対する巾着縫縮は、遅発性出血を低減する可能性があるが、効果は限定的であり、特にサイズの小さい粘膜欠損(40mm未満)や、大彎側病変において有用性が期待される
巾着縫縮の歴史
消化管内視鏡治療の発展に伴い、遅発性出血や穿孔予防の観点から、ESD後粘膜欠損閉鎖の重要性が増している。従来はクリップによる閉鎖が中心であったが、広範な粘膜欠損に対してはクリップ単独では十分な閉鎖が困難となる場合があり、より簡便かつ確実な閉鎖手技の開発が求められていた。
この背景のもと、2000年代初頭に巾着縫縮が登場し、2004年にEndoらが胃1)、Matsudaらが大腸における有用性を報告した2)。
巾着縫縮は外科領域の purse-string suture(巾着縫合) の概念を応用したものであり、クリップとループデバイスを併用する手技である。このため、使用デバイスに由来してendoloop closureと呼称される場合もある。
巾着縫縮の実際
巾着縫縮は通常、2チャンネルスコープを用いて施行される。一方のチャンネルから留置スネア(endoloop)を展開し、もう一方のチャンネルから挿入したクリップにより粘膜欠損辺縁にループを固定する。その後ループを締結することで、粘膜欠損部を一括して閉鎖する(図1)。

本手技は比較的簡便である一方で、2チャンネルスコープを必要とする点が普及の制約となっていた。
シングルチャネルスコープを用いる巾着縫縮
前述したように、内視鏡的巾着縫縮は2チャンネルスコープを使用しなければならないという制約があったが、手技の工夫により、シングルチャネルスコープでも巾着縫縮が実施可能であると報告されるようになった 3, 4)。これが手技の適応拡大と、さらなる普及に寄与している。
胃ESD後出血予防としての巾着縫縮
胃ESDは胃癌に対する標準治療として広く普及しているが、遅発性出血は依然として重要な合併症である。通常、遅発性出血リスクは約4.4% 5)とされているが、抗血栓療法中や、併存疾患を有する症例では、遅発性出血割合は29.7% 6)に達するとされており、高リスク症例では出血予防が重要となる。
通常リスク患者に対する胃ESD後巾着縫縮
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