はじめに
内視鏡的粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)や内視鏡的全層切除術(endoscopic full-thickness resection:EFTR)の普及に伴い、治療後に生じる大型粘膜欠損や全層欠損を安全かつ確実に閉鎖する技術の重要性が高まっている。創部の完全閉鎖は、遅発性出血、遅発性穿孔、腹膜炎などの術後偶発症を低減する可能性がある。一方、大型欠損では両側の創縁が大きく離開しているため、通常のthrough-the-scope clip(TTSC)を用いた単純閉鎖のみでは、最初の一手となる創縁の近接が困難な場合がある。
前稿「現在の創閉鎖技術の整理」で述べたように、TTSC単独では完全閉鎖が困難な症例に対しては、advanced clipやclip-based closure techniquesを用いて対応しているのが現状である。
本稿では、advanced clipの一つであるdual-action tissue clip(DATクリップ/Micro-TechTM)について紹介する。DATクリップは、左右2つのクリップを独立して操作できる創閉鎖デバイスであり、一方のクリップで片側の創縁を把持した状態を維持しながら、もう一方のクリップで対側の創縁を把持し、両者を近接させることができる(図1)。通常の鉗子孔を介して使用可能であり、専用の縫合用内視鏡や、原則として内視鏡の抜去・再挿入を必要としないことも特徴である。

独立した2本のクリップアーム(シルバークリップアームとゴールドクリップアーム)とミドルクローからなる。
クリップアームは各々独立して開閉が可能であり、同時に開閉も可能である。
DATクリップの構造と特徴(図2、Video 1)
DATクリップは、1本のデリバリーシステム先端に2つのクリップを備え、それぞれを独立して開閉できる構造を有する。手元には色分けされた2つのハンドルリングがあり、それぞれが対応するクリップの開閉を制御する。一方のクリップで組織を把持した後も、もう一方のクリップを独立して開閉できるため、離れた2点を順次把持し、両者を架橋するように近接させることが可能である。
従来のTTSCでは、開いたクリップの両アーム内に両側の創縁を同時に収める必要があり、創縁間の距離が大きい場合や、内視鏡が創面に対して接線方向となる場合には閉鎖が難しい。これに対し、DATクリップでは創縁を片側ずつ把持できるため、最初のクリップをアンカーとして利用しながら対側へ牽引できる。この独立開閉機構が、本デバイスの最も重要な特徴である。
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